

広島県呉市音戸町 創業/1899年(明治32年)
上の写真は何だかお分かりですか?
そうワインなどを熟成するオーク樽です。
ここはフランスではなく・・・ 広島県のとある蔵。
でも、広島県でワインを造っているのではなく、なんと日本酒の蔵です。
何で日本酒の蔵に樽?
ってことなんですが ・・・
これは後ほど
呉の町を通り抜け日本一短い渡し船に乗って島へ。
ここはまだ昔ながらの街並みが残るのどかな音戸町。
古いレンガ造りの煙突を目指して細い路地を歩くと、
銘酒『華鳩』の榎酒造に突き当たります。
この蔵の歴史は長く、創業明治32年。
現在で4代目榎俊宏さんです。
この蔵を一躍世界に知らしめたのは、「貴醸酒」です。
三代目の徹さん(俊宏さんの父)は、当時誰もが尻込みした貴醸酒造りに、一番最初に挑戦したのです。
貴醸酒とは、通常なら水で仕込むところを日本酒で造ったもの。
それを数年熟成させたものは、色は瑠璃色で、口に含むとほのかな甘さが広がり、まるでシェリーのようです。
それをオーク樽で寝かせるのです。
とんでもなく型破りな日本酒ですよね。
「なんでも新しいもん好きで、人がやらないっていったら、やりたくなるんですよ(笑)」
と笑顔でお話くださいました。
終始笑顔で、ずっと蔵の中を案内くださり大好きになりました。
蔵の屋上に上がった時、
「戦争の時は、この蔵の頭上一面真っ黒になるほどの戦闘機きてね・・・それは恐ろしかったですよ」と。
どういう訳か蔵は無傷で今に至るそうで、色々な意味で本当に素晴らしい方です。
お酒も型破りなら、人も・・・。
社長のお姉さんは、6年ほどフランスに在住されていて、フランスでワインスクールにも通われたとか。
それから杜氏の藤田さん。前杜氏から引き継いだその年に、酒品評会で4冠を達成したすごい人です。
その探求心、勉学心には社長も感心するといいます。
おもしろい酒と人、美味しい料理に日本の原風景。
個性的で美味しいお酒を飲みたいときは華鳩さんをぜひどうぞ。
プレゼントにも喜ばれています。
そもそも、迎賓館など、海外のお客様を招いたとき、乾杯するのにふさわしい日本酒はないだろうか…
ということで、国税庁醸造試験所で開発されたのが貴醸酒です。
“日本独自の高級酒”として1973年、醸造試験所の佐藤博士らによって開発。
清酒は米、米こうじ、水から造りますが、貴醸酒は水の代わりにお酒から造るのが最大の特徴です。
三段仕込みの最後、留添えで仕込み水の代わりに純米酒を使って仕込みます。
そうすることで、酵母のアルコール発酵がゆっくり進み、とろりと濃厚で香味豊かなお酒に仕上がります。
「ドイツの高級デザートワイン、
貴腐ワインに比較されるタイプの高級日本酒」 として
『貴醸酒』と名付けられました。
さっそく、翌年1974年、全国で初めて華鳩さんの現会長の榎徹さんが取り組みました。
しかし当時は、
「こんな色のついた甘い酒が売れるわけがない!
徹さんは狂ってる!」
と周りから言われたそうです。
しかし徹さんは、
「なら、やってやろうじゃないの!
反対されるってことはやる価値があるってことだ!」
と思ったそうです。
酒で仕込む貴醸酒には上質なお酒が必要で、時間と手間、コストが日本酒以上にかかるお酒です。
その不屈の精神は凡人ではないですね。
2000年5月には、
あの 「ニューヨーク・タイムズ」 で
「夕食後にこんなお酒はいかが?」
と貴醸酒を絶賛した記事が載りました。
また2008年ロンドンで開催されたIWC SAKE部門古酒の部で金賞を受賞しています。
味は、濃厚でまろやかな甘口。
レーズンやナッツのような香味が豊かでコクがあります。
しかし、普通のお酒よりも酸味があるので、甘いながらも意外とあと口がさっぱりしていて、お料理とも頂けます。
クリーム系やマヨネーズを使ったようなお料理との相性がいいですよ。
でも何といってもアイスクリームにかけて食べるのが絶品です!
熟成させるほどに琥珀色が深みを帯び、円熟した味わいに。
日本酒というより、シェリーやマディラ酒、老酒に近い味わいです。
いかがでしょう。
一度味わってみませんか?
日本酒の世界がぐっと広がりますよ。
375ml ¥3,500
(あまり数がございません。)
180ml ¥900
※ 価格は税抜表示です。