

日本人の魂ともいうべき『醤油』を古式製法で造られている井上醤油の井上裕義さんです。
島根県、奥出雲にその蔵はあります。
日本酒やワインの蔵は、非常に清潔で塵一つないといった感じですが、醤油の蔵は違います。
案内されたもろみ蔵は、梁、柱、天井のいたる所に、麹かびが幾重にもなって、びっしりとついています。
まさに、生きた遺産というべきものです。
蔵の中と外では、空気が違うといいますか、エネルギーが違うといいますか、とても不思議な空間でした。
ヨガをしている人なら、一瞬で瞑想ができ、また、ベッドを持ちこみ、病を癒した方がいるとか … 。
嘘のような … 本当のお話 …。
もろみ杉樽には1cm3(ティースプーン一杯)に、およそ一億二千万個の微生物群がいるそうで、寒仕込みにより、低温でゆっくりその微生物たちが動きだし、あらゆる微生物を複合醸造させながら、ニ年の歳月を経て、大豆を醤油へと育てて行く。
まさに神秘ですね。
そんな世の中で、井上さんの醤油造りに危機があった事は、想像に難しくありません。
もう辞めようか … と思ったとき、
「どうしてもあなたの醤油でなければならないです。
どうか造り続けてください」
といった内容の手紙を受け取ったそうです。
自分の醤油をこんなに必要としてくれる人がいることを知り、それからできるだけコストを下げるために、原料である大豆、小麦を自家栽培し、足りない分だけ国産のものを購入。
水は地下120mの井戸を掘って、そこから汲み上げる。
それでも大手のものと価格競争をできるほどにはなりませんが …。
こんな素晴らしい醤油を造ってくれる井上さんに私は拍手したいです。