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emu's view ~栄養士の視点~

CATEGORY REPORT 2016

食糧廃棄問題 そのⅡ

日本では、賞味期限切れや売れ残りなどによる食品ロスは、
年間642万トンにものぼるとされています。
そこで、今回は食品ロスが発生する背景から、
賞味期限がどのように決められているか、流通の仕組み、
ロスをなくす提案などを見て行きましょう。


製造年月日表示から賞味期限表示へ 
昭和23年、食品衛生法の施行により、牛乳、ハム、缶詰等の一部の品目について
「製造年月日」の表示が義務付けられました。
昭和36年、JAS規格マークの食品に製造年月日の表示を義務化。
平成5年 食品等の日付表示のあり方が以下の項目で検討されました。

① 保存技術の進歩により、製造年月日だけではいつまで日持ちするか
  わからなくなっていたこと
② 製造年月日表示が、返品や廃棄を増大させていたこと
③ 米国等の輸出国から国際規格である期限表示の採用を強く求められたこと


平成6年 各品質表示の基準が改正され、製造年月日に代えて、
賞味期限・消費期限の表示が義務付けられました。
こうしてみてみると、賞味期限表示でも、廃棄を減らす方向へは行けなかったんですね。


賞味期限は誰が、どうやって決めているの? 
賞味期限は各食品メーカーが決めています。輸入食品の場合は、輸入業者が決めています。
具体的には、「微生物試験」「理化学試験」「官能試験」などの検査を行って決めることが、国のガイドラインによって定められています。検査項目は、食品によってさまざまです。


1/3ルール 
製造日から賞味期限までを3つに分け、メーカーや卸から小売りへの納入期限は
製造日から3分の1の時点まで、
また、小売りの販売期限は賞味期限の残り3分の1の時点までとする、
食品業界の商習慣です。

 例えば、製造日が3月14日で、賞味期限が9か月間(12月14日まで)の商品があったとします。すると、製造日から3か月が経過した6月14日までに、小売りに納入されなかった商品は行き場を失って廃棄され、「食品ロス」となります。
また、納品期限からさらに3か月が経過した9月14日を過ぎると、商品は小売りの店頭から撤去され、「食品ロス」となります。
これは、1990年代に大手量販店が採用したとされています。


そこでこの度、味の素やサントリー、イオンやイトーヨーカドなど、メーカー、卸、小売りの大手16社が、今年6月以降このルールを見直し、納品期限を延長する実験を開始します。
さて、食品ロスをなくす効果のほどはいかに…。  

【管理栄養士 坂東武子】