

9月の半ばでも雨降りのロワールは結構寒い・・・
美しい古城で知られるロワール地方。
ドメーヌ・ド・ピエール・ビーズは、そのロワール地方アンジェ地区の銘葡萄園で名高いレイヨン村にあります。
蔵に到着すると、収穫したブドウを入れる容器で遊びながら、子ども達がお出迎え。
オーナー クロード・パパンさん。お孫さんが11人もいます。
子どもたち遊んでいる奥の壁に窓がついていて、収穫したブドウをそこから落とすと、地下に置かれた圧搾機が受け取るように設計されています。
その地下は醸造施設とカーブが続いていて、まるで洞穴の迷路のよう。
この樽を置いているカーブは畑にあるのと同じ石を使って自分たちで作ったそうですよ。
1970年代26歳で親からドメーヌを引き継ぎました。
はじめは8haだった畑が現在は55haに。
このあたりは昔は海で、火山や地殻変動を繰り返し今の形になりました。
なので非常にミネラルが豊富な土壌です。
パパンさんの栽培方法は独特で、お話を聞いているとまるで科学者です。
区画ごとに分けた畑の状態を完璧に把握し、風の向き、地中の温度を測定することで、地中の水分量を見極めます。
それは、糖度を上げ熟していながら酸が残り、ミネラルが多く実に入った素晴らしいブドウを育てるためです。
また、土の部分から岩盤までの厚みの違いで、植えるブドウの種類を変えるなど、どの土地にどのブドウを、どんな風に育てれば良いブドウが収穫できるか?
ずーとそんな話が続きます。
黒ブドウの方が、水分が多くいるので土層の浅い所に植えると枯れるそうです。
植える場所によって、ほら、葉っぱの色も全然違いますよね。
畑はあまり耕さず、生えている草を自然に堆肥に循環させる・・・
パパンさんは、日本の自然農法の第一人者、福岡正信さんの農法を取り入れています。
草だらけの畑。
ここは土をならしていて、草が枯れて醗酵? するまで待ち、近い将来ブドウを植えるそうです。
それは自分のためではなく、子、孫のために。
ブドウの樹は10年、20年して、しっかりと根が下に伸びることで、やっと美味しいブドウが収穫できます。
パパンさん自信も、父、祖父が大切に植え育ててくれた樹で今ブドウを収穫しています。
こうして、引き継ぎ繋がっていくんですね。
自然な造りのワインと、テクニックで造られたワインの違いや、このワインはあと2年後に開くとか、2011年までは開いているけど、そこからはパッと閉じて、2015年からまた良くなる・・・など、テイスティングに関しても、もの凄い分析力のパパンさん。
実は、パリのフランス・ソムリエ協会のワインセミナーで講師を務めていて、ソムリエ達からも絶大の信頼を得ているんですよ。
彼のワインをヴィンテージ違いでテイスティングしてみると、意外と一般的に天候が悪く、ワインのできが良くないとされる年のワインが美味しかったりするんです。
悪い年と呼ばれる年ほど、彼らの本当の力が発揮されるように思います。
天候が悪いときに踏ん張れるかどうかは、日頃の畑仕事にかかっているようです。
“何事も日頃からコツコツと” ですね。
科学と自然は真逆にベクトルがあるように思っていましたが、それは間違いでした。
自然を重視するために、自然でいられるように科学を使う。
測れるものは測ったほうが上手くいく。
そんな方法もあるんですね。
確かに、料理も美味しい奇跡の一品ができることがあります。
でも同じ味にと思っても、二度とできない時があります。
でも食材や調味料を計っておけばまた出来たかも知れないですよね。
また習った料理でも、全く同じように家で作ったつもりでも、上手くいかない時もあります。
それは練習して体得するしかない訳で・・・。
ってことでしょうね。
パパンさんは、測れるものは測り、その上で高い知識と経験を持ちどんな状況であっても、常にベストな判断で質の高いワインを造り上げています。
そして何より彼は非常に謙虚で・・・。
そのことが彼のワインの品質をさらに押し上げているように思います。
一見、取っつきにくそうで、難しいことを話す人のように思いますが本当は、とっても優しくて、まじめで、謙虚で・・・
“ワインは造り手の人柄を現す”
とよく言いますが、本当にその通り。
栓を抜いたばかりの時は、少し硬い感じがしますが、あとからググっと旨みが沸いてきます。
パパンさんのワインは、どうぞゆっくり、ゆったりと味わって下さいね。
軽やかなのに旨みたっぷり。
ワインの味わいは「造り手」によって決められるということを、再認識させてくれます。
¥2,500~
パパンさん一番ご自慢の白の甘口を寝酒に一杯に。
2~3週間かけてゆっくり楽しんで飲んで頂けます!
¥4,000~
やや甘口。
サーモンピンクのやさしい色とほんのり甘い上品な味わいが、
優雅な気分を運んでくれそう … 。
¥2,500~