はじめてワインの買い付けに行った時、正直何がなんだかわかりませんでした。
ただ、あまりにも教科書とはかけ離れた現実に一体今までワインの何を勉強していたのだろうと思いましたね。
当時はワインのことは良くわかりませんでしたが、一つだけ間違いないと確信が持てたことは、造っている彼らのワインに対する情熱です。
訪問すると彼らはまず、「畑を見てくれ」と言います。自慢の畑です。なぜ畑なのか?
美味しいワインを造るには美味しく健全なブドウを育てることでしか生まれないからです。
その土地の気候風土にあった品種、畑仕事。
どの枝を残し、どう選定するか? いくつ房を残すか? その時期をいつにつるのか?
除草剤を使わず、収穫も手作業でする場合が多いので、彼らの手はいつも真っ黒。
まるでグローブをはめているような大きな手です。
天と土の声を聞き自然の中でたくましくブドウを育てていく。
そんな彼らの姿に惚れて、“あなたが造ったワインだから、私は皆様に紹介したい!”
そんな気持ちになりました。
彼らの多くは、知恵、技と共に代々受け継がれた家族経営の小さなワイナリーです。
派手さはないですが、毎年確実に美味しいワインを造り続けています。
その証拠に、はじめた当時は無名だったワイナリーも今では、多くのワインガイドブックで高く評価されたり、フランスの三つ星レストランで扱われたりと、どんどん羽ばたいています。
彼らのワインは、地域にも銘柄にも格付けにも頼るものがありません。
有名産地じゃないから、AOCじゃないから…なんて言わないで。まず飲んでみて頂きたいと思います。
天と地の恵みと彼らの情熱が感じられるはずですから。