CATEGORY 造り手訪問
富山県 三笑楽酒造訪問
富山県三笑楽酒造訪問
3月17日、富山はまだまだ冬の続きで、雪もずいぶん残っているように思いましたが、
杜氏の山崎さん曰く、「年々雪は少なくなっていて、今年は特に少ないよ。」
とのことでした。
気候の変化は、米作り、酒造りに影響しますので、どこの杜氏も、皆さん非常に敏感です。
1880年創業、現在は5代目となる蔵元であり杜氏の山崎英博さんです。
23歳から杜氏見習いとして働き、26歳の時に杜氏となり蔵を引き継ぎました。
私より3つ年下の若き杜氏ですが、非常に勉強熱心で、
何を聞いても明確な答えが返って来るから、ほんと凄いです。
ひとつ、ひとつの作業にちゃんと理由があって、
まじめに、正確に積み上げていくタイプの方ですね。
「昨年の夏の猛暑を覚えていますか? 米は、登熟する時期に気温が高いと、
糖の形が変形して、その年の米は溶けにくくなります。
硬い、割れる、溶けにくいと三拍子揃った、今までに経験したことのない
悪い米だったので、原料処理には本当に苦労しました。」 と第一声。
米の出来がどうであれ、“仕上げる酒の味を変えてはいけない”というのが、
日本酒の世界です。米の出来によって、吸水時間や蒸し時間を調整し、
麹室の温度管理等、寝ずの番をして米から酒へと育てていきます。
その苦労が今年は最大限だったようです。
ずっと米の話をしていましたからね。
しかし、搾ったお酒を飲んでみると、「さすがじゃないですか!!」
そう言わせるための振りでしたか(笑)。
試飲は原酒だけど甘ったるくなく、山廃の仕込みの奥行きのある味わいでキレがいい。
いつもの三笑楽にちゃんと仕上っていました。
彼が醸すお酒は、華やかさはないけれど、なぜか落ち着く
“ホッとするお酒”です。ゴールデンウィークの試飲会でも、
“食事と一緒なら、三笑楽!”と、一番人気でした。
皆さま、ぜひ一度、ご賞味ください。ホッとしますよ!