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日本の冬仕事 ~葛つくり~

久しぶりに大阪でも雪が降った寒い冬でした。立春搾りなど、酒蔵からは春の便りが、
いい香りと共に続々入荷しております。春はもうすぐですね。

日本の冬仕事


寒いのは苦手で、毎年冬眠したいと思っていますが、まぁそんな訳にはいきませんね。
でもこの風土を利用した寒い時にしかできない仕事があります。
お酒や味噌造りもそうですが、
実は「葛造り」もその1つです。


先日、創業なんと450年の森野吉野葛本舗、20代目当主森野智至さんにご案内頂き、
葛造りの現場を見学してきました。
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葛は秋の七草のひとつで、マメ科の植物です。
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さつま芋が植わっている風景に似ていますが、掘ると、蔓の先に芋ではなく、
太い根があり、その根を粉砕し、水に混ぜて、根に含まれる澱粉を取り出したものが葛です。
葛は山に自生していて、非常に生命力が強いので、常にある程度間引かないと、
杉やヒノキに巻き付いて、大変なことになるそうです。


掘るのは“掘り子さん”と呼ばれる農家の方。農業が出来ない冬の大切な仕事です。
寒くなり葉が落ちて、しっかり澱粉を貯めた根を狙います。
どこに良質の葛が植わっているか、掘り子さんしか知らない、秘密の場所があるそうですよ。
根は鮮度が命。収穫したら、その場で粉砕し、粗生葛にして加工場に持ち込まれます。
それを1000Lの水槽に入れ、水に浸して澱粉が沈殿するのを待ちます。
待つこと2日間、やっと10センチほど溜まったら、水を入れ替えまた沈殿を待つ。
これを7~10回繰り返します。
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この時の水が重要で、軟水で冷たくなければ風味の良い葛になりません。
精製後、脱水し、風の力で乾燥させてようやく完成です。
原料の葛の根から、わずか10%しか取れない貴重品です。


葛は、和菓子や葛湯、胡麻豆腐、料理のとろみ付けだけでなく、葛根湯をはじめとする、
多くの漢方薬にも使われるほど、滋養によい食べ物です。
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健康で無駄がなく、まじめでいばらない。風土を生かし、そして何より美しい!
そんな昔の人の仕事ぶりに、今回改めて感銘を受けました。

当店も美味しくて、ワクワクするような商品やイベントをご紹介していきたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
【坂東武子】